junkoの日記

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昆明での滞在記1.

中国各地での撮影も、去年から引き続き4回目。中国各地なるべく印象の違うと思われる街を選ぶようにやってきた。それぞれ独自の歴史を持った街が、今どのような現場を見せているのか。現在進行中、前線地帯のような場所を訪れる。



今回は昆明へと出向く。雲南省省都雲南省は中国国土の広がりのちょうど真ん中あたりの南端に位置する。国境沿いなので、ベトナムラオスミャンマーと接しており、昆明は南アジアとの玄関口のような街でもある。




昆明長水国際空港 :去年6月、郊外に新しく開港されたばかり。北京・上海・広州に続いてのハブ空港との位置づけになり、南西部への国際便多し。





街が位置するのは標高約1900m。そのため南部に位置しているが、夏もそれほど暑くならない。湿度も(乾燥気味の中国では)高めなほうで、気温の高低差は厳しくならず、1年中通して穏やか。別名「春城」とも呼ばれている。
穏やかな気候や地方都市ならではの落ち着いた雰囲気は、なかなか居心地の良い印象。



昆明市としての人口は、現在500万人以上に上り、地方都市としてはかなり大きい都会である。
雲南省や隣の貴州省は、少数民族の人々も多く暮らす地域としても知られている。なので街中では観光のような何かとこの地をアピールする場面では、鮮やかな衣装をまとった彼らがたびたび登場する。
彼らは少数と言っても、11億以上いる漢民族と比べてであり、55の民族の総人口は1億人を超えている。街でもそれらしき人々を時々見かけた(グループでおそろいの服装をしているからなんとなく分かる)。しかし、派手な衣装を身にまとっている者は観光地だけであり、実際のいでたちはかなり地味であった。




雲南民族村にて。






なぜこの昆明に興味を持ってやってきたかと言えば、この街の郊外でただ今実施されている大きなプロジェクトの地域が、何気に目についたからである。
現在昆明は、新規事業が次々に実施されている様子。新しい国際空港の開港もその一環であり、始めての地下鉄も数路線の開通が計画されている。街の中心街でも至る所で、再開発のための工事が目につく。







開通して1ヶ月ほどしかたっていない出来立ての地下鉄。(路線図)  この1号線は中心街から離れた場所から、さらに離れた郊外へと伸びている。撮影場所へと通じていたので、毎日のようの利用した。
まだ試験的に走られている感じで、ほとんど乗客はいない。(バスのほうが安いし乗り慣れているから、普通は皆バス利用。)しかし地元の人達にとっては珍しいものなので、大した金額(2〜5元)でもないし見物に乗ってくる様子。



そもそもこれらの事業が行われいる背景には、「西部大開発」という中国国務院が政策しているプロジェクトがある。
この「西部大開発」というものは、東部沿海地区の経済発展から取り残された内陸西部地区を経済成長させるため、2000年から実施される事に決まった。雲南省重慶市四川省甘粛省貴州省などの他、チベット自治区や新疆ウィグル自治区までも含まれている。
これらの地域は、もともと豊富な地下資源や広い土地、少数民族などの観光資源にも恵まれている。なので、沿岸部との経済格差が問題になっていた内陸部を、本格的に成長軌道に乗せるための政策として、その地のりを活かしたプロジェクトを実施しているらしい。








老街 :市内で一番古い建物が残っているエリア。土産物店が並び、下町の露天市のような雰囲気がある。ここも再開発でかなり壊されていたり、リニューアル工事されている。






私が気になった郊外の場所というのは、市街地から17・18kmほど離れたところにできた新区地域である。数年前から、中国のあちらこちらで開発されている広大な新区について、色々な画像や写真が出回っていたが、この昆明のエリアについては、とりわけ開発面積の広大さが目に付いた。
しかしここについての情報は、今のところ産業企業を誘致するために特別整備された場所(工業団地や経済特区のように)でも無さそうなので、新区についての現地紹介のようなものがこれといって見当らなかった。という訳で、ほとんど具体的情報の無いままに今回訪れる事となってしまったのです。(この情報の無さ加減も好奇心を喚起させる事に。。)



まず実際現場で感じられたのは、大学施設の多さとマンションのみが目立っている事。雲南大学を中心にいろんな大学や分校をこちらに誘致して、文教地域としての売りを考えているような印象。しかし、一帯を見渡せるほどに何も建てられていない空白エリアの広大さは、やはり最も印象的だった。



地下鉄1号線は、ちょうどこの新区を目指して路線が延びている。地下鉄といえども、半分くらいは地上の高架を走っているので、郊外の状況をパノラマとして眺める事もできた。


続く。。