junkoの日記

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ウルムチ滞在記2.






私達が居る場所というのはどんな所なのだろうか?という事が気になって、人の居る場所が急激に変化している中国を周遊してきました。
ウルムチを含めたこのあたりの地域は、これまでの訪ねた街と比べても、地域性や自然環境などが随分違う印象です。
漢族以外の人達が多く住み、何千年前からの人々の痕跡が数多く残っていたりする。現在のこの地域の開発振興ぶりと同時にそれらを体感できるなんて、かなり特殊なエリアである。
中央からはるか彼方にあり、砂漠に取り囲まれ隔絶されている場所なので、余計そんな印象を持つのかもしれない。





より大きな地図で 新疆ウイグル自治区 ウルムチ市 を表示



ところでウルムチは、街自体に観光として目玉というのものがあまり無い。ウルムチより南側(天山山脈から南側)にある街のほうがもともと栄えていたので、遺跡などはそちらの方に沢山残っている。
地理的に天山山脈北側から南へ抜けるルート上にあったウルムチは、清朝時代に新疆の中心地となった。そして19世紀、北側からのロシア進行に対抗する軍事拠点として重要視され、今日に続く街の発展を遂げる事になる。なので、近世になってから急に都市化された故、歴史的に目立つような遺構は存在しないようだ。




街の真ん中にちょっと変わった山がある。紅山という名がついているとおり、山肌が赤味を帯びている岩山である。街のど真ん中ににょきっと、どうしてここにだけ岩山があるのか不思議。
この立地のおかげで街全体が俯瞰できる。この紅山公園は数少ない観光スポットのひとつとなっていて、緑も多いため夏の時期は市民も木陰を求めて集まってくる。


紅山山頂付近。



街中の印象は、文字表記が中国語とウィグル語の併記であったり、道行く人々の多様さやイスラム色の濃さのため、中国の街というよりアラブの街かと思ってしまう。
しかし、中心街を離れると、やはりこれまでの街と同じような見慣れた郊外の風景となっていく。






空港に着陸する直前に見た郊外のイメージが気になっていたので行ってみる。
右上に見える、奇妙なかたちの白い屋根の建物が、飛行機から見てもかなり目立っていた。南北に長いウルムチの街、北のはずれに向かう。




周りから浮いたように目に付く建物は、大抵政府関連か公共施設である。実際近くで確認してみたところ映画館か劇場施設みたいでした。
周囲との調和をあまり省みず、とりあえず街のイメージアップになる?かのようなものを造ってしまおうとする感覚は、ひと昔前の日本の地方行政でも行われていた事だな、と思ったりする。
目の前には普通の集合住宅が並んでいて、一見中国のどこにでもあるような郊外の住宅街であるけれど、このエリアにもモスクがある。それを見ると、やはりここに住む人達の民族性が伺われます。





バス路線を移動の最中、気になる光景を見かけて途中下車する事がたびたびある。そして、そのまま新しい撮影場所になっていったりする。

北の地区への通りがかり、バスから外を眺めているとちょっとギョッとする光景に出会った。発電所の冷却塔と思われる建物が、突然視界に入ってきたのだ。このシルエットは、他の場所でも風景の一部として彼方に幾度か見てきたが、近くに現れるとやはりインパクトがある。
このような施設について全くの素人であるが、たぶん火力発電所であろう。燃料は近くに油田があるので石油かと思われるが確認できず。
中国国内では毎週のように新規の発電所ができているらしい。ウルムチの郊外にはここ以外にもふと目に入った発電所は数箇所あったので、全国的には相当な数になるだろう。
石炭の火力発電所から排出されている煤煙は、今問題になっているPM2.5の大気汚染の原因とも言われている。(新規の発電所は排出浄化機能がよいものになっているらしいが、以前に建設されたものはこの機能があまり考慮されていない。)


近くまで行って驚いたのは、冷却塔のすぐ脇を一般道が通っていて、その道を挟んだところに集合住宅があったりする。日本ではこのような工業施設と一般地区とは、環境配慮のため緩衝緑地があったりしてある程度離れている。なので、かなり奇妙な光景に映る。




廻っているエリアは、決して風光明媚な場所とは言えない。何も演出していないエリアの一角から、かえってその国の事情が色々見えてきたりするはやはり面白い。