junkoの日記

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日本に届くニュースに思う事。

日本から距離も離れこちらとは繋がりの無い出来事と今までは思っていた、これまで縁も無かった所で起こった事件。しかし、その場へ訪れた事をきっかけに、今までとは違いそこで起こった事が気になりひっかかったりする。
それによって自分がどう関係していくかはさて置き、その事件の背景や繋がりから改めて見えてくるものがあっておもしろい。特に、情報を規制コントロールしているような場所であるれば尚更観察のしがいがあったりする(?)。そして、自分のような単独で行動する者にとっては、活動するうえでも参考となる。








日本国内の場所であれば、思いたったら自分で確認しに行く事や情報を色々とる事もできます。けれど、遥かに遠くからこちらに届く情報はいかようにニュースとなって届いてくるのか。
日本に暮らすほとんどの人にとっては、中国の新疆ウィグル自治区という所など関わりは無いでしょう。ウイグル自治区内で、警官隊と住民らが衝突したという報道があり、先日滞在していたのでちょっと気になってしまったのでした。 
2013.12.17 産経新聞
散発的にこのような事が起こっているらしいですが、報道の制限もあるせいか、今までもそうだったように、報告だけのニュースのみで詳しい情報はあまり入ってきません。



とりあえず普通に日本で生活していながら耳に入ってくるものに対し、一個人としての感想をもってしまった次第です。
事件があった場所はウィグル自治区内でもさらに地方のため、よほど大規模な事件にならないと、なかなか海外メディアも入っていかない。報道の数もかなり少なく、詳細も不明のまま。




自分がウルムチ滞在中の8月末から9月初旬にも、同じような事件が自治区内で発生した。そして、ウィグルの人達が絡んだ事件という事で、彼らが多く住む民街には日に日に武装警察の姿が増えていったのが印象的だった。人が沢山出入りするバザールには、10人づつぐらい銃を抱えた隊が数十メートルおきに配置されていました。
2009年のウルムチでの大規模暴動以来、こうした事件が起こるたびに当局がこのような対応をしてきたのだろうかと思われる、物々しい雰囲気が漂っていました。




民街バザール


その時には報道関係者らしき人の姿は全く見掛けませんでした。私はたまたまその場で街の様子や通りにいる人々を撮影していた訳ですが、偶然にもカメラを向けた先に武装警官がいて、彼らに見咎められてしまいました。
早速その場で挙動を問われたので、自分は旅行客で一般人だという振りを通し、どうにか開放される。ちょっと詰問調で長引きそうだったのが、なかなか冷や汗ものの一件でした。自分にとっては一種珍しい体験となった次第ですが。




それから、帰国してしばらくすると、天安門広場での車両爆破事件が起こりました。その後の報道で犯人はウィグル族の人達である、という情報が流れる。自分としては、ウルムチで見た不穏な気配が、北京にて突如暴発したかのように受け止めてしまいました。
その直後から、報道の人達もウィグル自治区に入り、取材映像もチラホラ流れたりしましたが、しばらくするとほとんど報道されなくなる。現地での取材規制が厳しい事も伝わっていたので、その介入がより厳しくなったせいでしょうか。


11月半ばにも同じ地域で衝突があり、死傷者がでたというニュースがありました。きっかけは当局側の過剰反応による発砲がきっかけだったようですが。
2013.11.21 産経新聞
この件も事後報告のような記事がほとんどで、やはりその後の経緯はあまり伝えられていません。現地での取材規制の厳しさもあるでしょうが、報道する側にもその厳しさを押してまで取材する重要さがあるのかどうか、という判断はなされそうです。。(推測ですが)この地域と日本との繋がりがどれほど密なものか、実感が乏しければあまり深入りする重要性は無い訳ですし。
昨今、海外の情報などインターネットですぐに入手できると言われていますが、こういう状態が起こると情報の取得の自由というものは、やっぱり意図的フィルターがかかっている事が垣間見えてきます。それは現地当局だったり、発信する側であったり、こちらに届く前に何重かのフィルターがかかっている訳です。



自分の場合、中国各地をテーマに沿って訪ねていくうちに、この地域に辿り着いた訳で、偶然にも事件現場の一端に遭遇。現地へ赴いて制作していく手法ならではの出来事でした。
事前にグーグルマップなどで散々下調べしたつもりでも、”リアルな現場”にはアクシデントは当たり前です。アクシデントに合う事で、今までとは違う認識やら新たな情報を直に得る事が出来たりします。
加えて、ネットでの情報と実際の現場とのギャップを確認しに行くのも、目的のうちだったりもします。
「ネットでいくらでも海外の情報が入ってくるから、もう海外に行く必要など無いのでは?」などと言っている人がいますが、所詮は二次・三次情報だったりするので、それって本当かなー?と思ってしまいます。




先日、論議を呼んだ秘密保護法案について気になったのも、現地で偶然尋問を受けた事が印象深かかったり、その後の報道の成り行きがあったからで、つい情報のコントロールという点で考えてしまいました。




この時期、かの地では最高気温さえも氷点下。穏やかな日本の環境と比べたり、年末の賑やかな街並みを眺めながら、遥かな距離の先にあるものをつい感じたりするのでした。




*写真はウルムチでの記録用スナップから。