junkoの日記

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「風神雷神屏風」展へ

仙崖 ○△□

日が暮れた丸の内。私もひと仕事終えて、ネオンが少ないビジネス街から華やかな有楽町へ向かう。
ちょっと話題の展覧会、出光美術館の「風神雷神屏風」展へ。(ちなみに展覧会はもう終了してます。)着いてビックリ一階にはもう行列が。。さすが日本人であったらかの宗達の「風神雷神」の図柄は大抵の人が知っているであろうと思われるだけに、その実物が見れるとあってなかなかの混雑ぶり。
今回、宗達の画の他に尾形光琳酒井抱一の同じ図柄の屏風が一堂に見れる、という凄い企画。スゴイけれど随分とストレートな感じも。。企画側の「どうだー!」という鼻息の荒さを感じてしまう。
会場へ。実際3点並べて見てみると、宗達の画の迫力はやはり歴然。彼の画にはどこか日本人離れした堂々とした豊かさみたいなものを感じる。数年前に、京都の養源院で宗達の杉戸に描いた画(象や麒麟のデフォルメがスゴイ)を見る機会があったが、手法はいたってシンプルながら迫力の筆使いが印象的だった。宗達のこんな強いビジョアルだからこそ、その影響を受けた人がまたその後の琳派という一大派流を作っていったのだなー。
でも今回、間近で「風神雷神図」を見てみたら、大胆なのに結構細かいところにまで気を使っているのが分かり興味深かった。特に髪の毛のあたりとか職人的に均等な太さで描いていたり。でも線が硬くないのですよね。宗達の画は、線が太いのですが決して重たい感じにはならず、どこか踊っている感じ。画全体を見てもその線の使い分けにリズム感を感じてしまう。風神雷神の身体は筋肉質の力強い線ですが、彼らの身に付けているモノたち(風袋、太鼓、帯など)は伸びやかな曲線で描かれているのが、絶妙なコントラストである。この線の対比の効果が画全体に躍動感がでて、まさに神さまたちが踊っているようにも見える。
さて展覧会についてですが、この3点の違いを細かく分析しているのにやたらスペースを割いているのにはちょっと疑問を感じたが、一般のお客さんにはトレビアな感じなのでしょう。確かに、宗達光琳・抱一の画の違いが一目瞭然。
光琳は”クール・ジャパン”というネーミングがピッタリ。実際アートデェレクタ的な仕事をしていた訳だし。呉服問屋のお坊ちゃん?な品の良さを感じます。
抱一は、これまた職人的だけれど時代的に明治に近い、どこかモダンな軽さがある。風神雷神の顔がマンガ・チックなのには笑えた。
その他、彼らの代表的なテーマをわかりやすくチョイス。「紅梅図」だったら光琳、「菖蒲図」だったら抱一でしょ、って感じですか。
そして、展示も終わりに近づいてきた時にふと見入ってしまった画があった。ここまで大迫力の屏風画ばかりだったのに、思わず子供のイタズラ描き?と思うような画。それが「仙崖」という禅僧の画であった。以前どっかで見た事がある図柄「○△□」。これで世界の構成を表しているそうな。さすが臨在宗の禅僧です。今まで見てきた展示がふっとびそうなくらいの力の抜けた画である。俄然この仙崖という画僧が気になり始めた。
(続く)