junkoの日記

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お江戸クルージング。

先日、「東京アートポイント計画」というアート・プロジェクトが始まったので、そのオープニング・イベントに行く。これは東京文化発信プロジェクトが始めた新しい企画。ディレクターは元・水戸芸術館主任学芸員だった森司さん。始まったばかりのプロジェクトなので全貌はまだ把握できませんが、数年間続く企画らしいとの事。
このオープニング・イベントに、近頃お付き合いがあるBOAT PEOPLE Association が参加、「LIFE ON BOARD @ CET」 と銘うって水上クルージングを開催したので、乗船させてもらいました。1日だけのイベントで、4便運行・定員も40人と限られていたためか、告知を出したところあっという間にSOLD OUT。本人達も驚いていた様子でした。
コースは、東京駅からも近い日本橋川の常盤橋防災船着場から、秋葉原にある和泉橋防災船着場までを往復するもの。2点の航程の間には、日本橋川の首都高橋脚の間を抜けながら、茅場町にある霊岸橋から亀島川に入り、メインストリートの隅田川に出てしばし曳航、両国橋をくぐり柳橋から神田川に入って和泉橋へ--という変化に富んだエリアが続いている。
距離としてはそれほど長い航程ではないが、このあたりは江戸時代から、金融や商業などで街が活動していく機能を果たしていったような地域であり、近代までそれらの交通運輸手段として実際に成り立っていた河川でもある。ある意味、都心で最も密度の高い地域を巡るコースなので、1時間あまりのクルージングでもかなり興味深いものでありました。


私が乗船したのは和泉橋発の便。現在の秋葉原周辺は賑々しい空間なのですが、河川沿いの光景は出発してしばらくすると、屋形船がズラリと並んでいたりして、江戸っぽい情緒が残っています。(しかしビルが見えてしまうのは致し方ない。)

BPAの日頃蓄積された情報をレクチャーで披露。



支流から隅田川へ出ると、一気に視界が広がる。水上航路のメインストリートを実感させる光景。船上では、隅田川に出た途端に揺れの大きさの違いを感じる事で、大規模河川の流れの大きさや水量の圧倒的な違いを実体験。





亀島川は、東京湾岸を縦横無尽に存在する運河のような川のひとつ。両際はビルが密集して立並んでいるが、大抵の物件では川側はバックヤード扱いで、背を向けられているような様相。地上より水面は低いため、半地下状態の中を船がソロリソロリと通っていく感じは、都心の真っ只中のアエポケットを探索する心持ち。おまけに頭上スレスレの低い橋桁をくぐったりして、まさに探検クルーズのよう。
このあたりでは、新しく建てられたタワーマンションと古くからある民家や雑居ビルとのコントラストが見られる、かなり密度の濃い光景。


日本橋川に入ると、現在、撤去論争にもなっている首都高が川の真上を通るエリアになる。首都高の橋脚が川の中に林立している光景は、このコースのハイライトかもしれません。川の上を塞がれているので暗めな光景なのだが、かえってその暗さと橋脚の組み合わせで、森の中にでもいるような気分にも思えてきます。
私は昨年、「Tokyo Mid」というビデオ・シリーズ作品を発表しましたが、ロケ場所の一部はまさにこのあたり。撮影時には橋の上から日本橋川を結構眺めていましたが、実際に川の水面から眺める体験ができ、面白い展開となりました。


今後、東京の運河をくまなく巡るツアーなどが企画されたら、また参加したくなるようなクルージングでありました。このプロジェクトでのBPAの活動に期待。
この日は、一日中「セントラルイースト東京」との連動企画をCETエリアで行っており、夜のクロージングは路上封鎖で焼肉パーティ、夏祭り気分で終了といった感じでした。
「東京アートポイント計画」が果たしてどういった展開になるのか、それによって東京での町とアートの関わりがどう変貌していくのか、数年越しの経過が気になるところであります。