junkoの日記

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北京の一面を垣間見る。

三影堂の展覧会を開催している北野謙さんは、2ヶ月くらいレジデンス滞在をしながら、北京での撮影と暗室作業で自らプリントした巨大なバライタ紙の作品などを展示しています。
それにしても、今回の北京滞在はたった1週間という短さながら、北京に在住や滞在している色んな人達に会えたりして、なかなか濃い滞在でした。
北野さん企画の日中アート関係者シンポジウムのため、日本からの関係者とも合流。到着した面々は、光田由里さん(松涛美術館美術館学芸員)、日高優さん(群馬女子大講師)、編集者の本尾久子さんやデザイン事務所マッチアンドカンパニーのメンバー、東京都写真美術館の石田留美子さん、日本写真協会の武田純子さんなどなどの応援メンバーが駆けつける。
シンポジウムでは「アジアのポートレト写真における自己と他者」というテーマで、意見交換するというもの。中国側パネラーは、評論家の蔡萌さん、作家の黄鋭さん、鄔建安さん、三影堂の栄栄さん、など中国アート界中堅どころの方々。
まずは北野さんが作品解説やこれまでの経緯を発表。日中パネラー同士が初対面なので意見交換というよりは、お互いの立場や意見を紹介し合う様子で時間切れになってしまった感も。しかし、そのぶん各者ともかなり語っていましたので、聞いている方はなかなか興味深いものに。(→シンポジウムについて、三影堂HP、英文

シンポジウム後のパーティ。


別の日、シンポジウムでも登壇していました黄鋭さんのスタジオ兼御宅訪問へ。北京では郊外に芸術区というエリアが点々と出来ています。アーティストが制作できるスタジオ兼住居がまとまって建設されており、個人のスタジオとしては日本ではなかなか持てない広さもあり、黄さんのスタジオの広さには訪問者一同唖然。個人美術館のように自作を並べた広々としたスペースで、コンセプチュアル作家ならでは?のスタイリッシュな御宅。そして美味しい中国茶とフルーツを御馳走に。
その後、三影堂のオーナー御夫妻の御宅も訪問しましたが、アイ・ウェイウェイ氏が設計したという建物で、こちらもかなりゆったりした空間の御宅でした。日本とは物価や建築工法などの違いもあるのでしょうが、専有できる空間の大きさは、自ずと作品の大きさやスケールにも現れてしまうという事が、彼らのスタジオを見ても感じられます。





ただ一旦できた芸術区も今後ずっと安泰であるかどうかは分からない、という状態なのも中国の現状らしいです。北京の近郊はこれからまだまだ開発されていく様子なので、土地の管理者から突然立ち退きを迫られる事もあるようです。今年の始めに日本でもちょっと報道された芸術区襲撃事件も、そのような立ち退きを強制するものだったようです。襲撃でケガをされた岩間賢さんにもお会いしました。(→朝日新聞
インリさんから、取り壊し現場は三影堂からも近くにもあるので、是非見に行って下さいと言われました。彼女も、三影堂や草場地区が今後どうなるのか分からないのが現状、と気にしていました。そのためにも、海外の関係者と連携して、この場所の存在感を強くしていかなくてはと考えているようです。
「爆撃されたような場所」と彼女は表現していましたが、その場所に着くとスッポリ瓦礫の空間が広がっています。芸術区だけではなく、もともと村があり一般人も多く住んでいたような場所だったのも窺われます。多くの建物がレンガ作りで鉄筋も入っていない様子、壊すとなるとあっという間に瓦礫となってしまうのが想像できます。
このような事が、2008年の北京オリンピックの前あたりにはかなりの場所で行われていたのでしょう。それにしても、未だに強制排除のような事が突然起こってしまうとは。。この国の一面が、また垣間見れたようです。