junkoの日記

アーティスト(写真・映像) www.junkotakahashi.com https://www.facebook.com/junko.takahashi.376/ https://www.instagram.com/juwakot/

撮影開始。

私がロケ場所として選んだのは、草場地から2kmほど離れた所にある集落です。周りはほとんど全て、再開発のために取り壊され更地になっています。この集落だけは、まだかなり家が残っていたり人も住んでいたりしていますが、無惨に瓦礫となってしまったエリアと混在して、独特な風景となっています。町の面影も多少残っていたりしますが、昼間でも人影はほとんどありません。
私はこれまで数回ここへ訪れており、撮影していたりすると住民の何人かは、「こんな場所で何を撮影しているのか?」と興味深げに話かけてきたりします。それをきっかけにコミュニケーションがうまくいくようだったら、彼らの電話番号を教えてもらいます。後日あたらめて通訳の人に電話連絡してもらい、事情説明をしたうえでアポを取り、彼らの話を聞きながらと撮影を行います。
こちらの撮影に興味を持って近づいてきた人は、大抵うまく進展していきます。私のようなほとんど初対面の人間を歓待してくれ、自分の家の中まで見せてもらったり、こちらからの質問にも色々答えてくれたりします。
しかし、他の人達の中には彼らのテリトリーに入っていくと内部事情によっては、撮影が中断する事があります。現在ここに残っている立場の彼らによっては、家族の中にはあまり表に公表されたくないと考えている人もいるからです。(ここに残っているという事は、立ち退きをまだ拒否しているという立場なので。)通訳の中国人もちょっと心配して、私に説明してくれましたが、どうやら私を報道記者と勘違いしている人もいるようです。だから、取材され公表される事によって、どこかで政治的な影響が自分達にふりかかってくるのではないか、という漠然とした警戒心からの反応があるようです。これは、現在報道されているいわゆる反日的な反応ではなく、彼らが普段から気にしている政府への漠然とした警戒心から来るもののようです。