junkoの日記

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最終ミッション(2)

結局、最終ミッションは達成されました。私としては、現代の隠者のような彼に、昔日の詩人が詠んだ遥か昔に在った光景と、現代のこれらの光景を結び付けるような役割をお願いできればと考えてました。
頼まれた相手側も、こちらの申し出には最初唐突な様子で対応していました。が、私の意向を汲んで、彼からある書紙を譲り受ける事となりました。
という訳で、ようやく当初思い描いていたような計画が、かたちとなったのです。北京まで飛んできた甲斐があったなー、と一安心の出来事。


さて、去年から開始したこの撮影では、北京の近郊を訪ねて、たまたま出会った光景に、すぐ思い入れのようなものを感じてしまいました。取り壊され広々とした、ポッカリ空いた空間。既視感のようなもの、自分の個人的思いがあったような気がします。
ちょっと一昔前、70年代の東京近郊、至る所で住宅地開発のため造成地が作られていました。自分の幼少期、そのような場所で過ごしていた事に、今回あらためて思い出されたような心境になったのです。
幼少の頃は、もちろん造成されつつある土地柄などに、さほど興味を持っていた訳ではありません。けれど、思い返してみれば、私がその頃住んでいた新興住宅地も、ちょっと外側を歩くと以前の土地柄が見えてくる場所でした。
そして、自分達の住んでいる場所とは違うそのエリアに、何やら異界めいた雰囲気を感じていた事を覚えています。計画的に日々あらたなかたちへザックリと造られる新しい街と、以前から自然発生的に住み続けていたであろう生活空間、との境界。
今回、北京の郊外で見つけた光景は、その違うエリア同志、境界上で荒っぽく衝突しているシーンなのだろう思われてきます。


北京で出会った渦中の光景は、決して麗しい風景とは言い難いのですが、その場にいる人達や自分自身の心境など、色んな思いが錯綜していくのでした。


さて、北京での制作は一旦終了。日本でこれから作品の最終仕上げです。そして夏頃、今度は作品発表のため渡航する予定。



帰りの飛行機搭乗は、北京首都国際空港のターミナル3。ノーマン・フォスター設計のやたら巨大なターミナルのせいで、チェック・インから搭乗ゲートまでの時間配分が判らず、なんと乗り遅れるハメに。
次の便に乗り、どうにかその日に帰れましたが。恐るべし?北京首都国際空港