junkoの日記

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展覧会が終わり、思ったこと。その2


以前から再三気になっていた事でしたが、写り込んでいるイメージに対しての反応です。取り壊されている現場でのイメージは、どうしても震災のヴィジョアルと重なってしまう。去年から作品を見せると度々言われた事ですし、これは観る側の感覚としては、どうしようもない当たり前の反応だと思います。(なので展覧会の開催時期も慎重になりました。)


会期中「これは被災地ですか?」と聞いてくるお客さんも時々いました。しかし概ねの反応は、写り込んでいるディテール(建物の特徴や文字など)にすぐ気が付き、場所の違いを判断してくれています。
観る側の感覚は、こちらでは推し量れないし制御できないもの。しかし、観る側が通常の感覚を持っていれば、違いを修正し新たな感覚で見直してくれる。こちらは元より、崩壊のヴィジョアルを刺激的に扱っている訳ではないので、少なくとも向こうもあまり拒否感を感じずにイメージを受け止めてくれているように見受けられました。ゆえに、公開したヴィジョアルに対して、否定的な意見を直接述べる人は、とりあえず今回は遭遇しませんでした。
少なくとも観る側には”感覚を修正する”というもの(いわゆる良識?)がある、と再確認できたようで興味深かったです。





去年から色々な場面で、自己規制や先回りした暗黙の配慮というプレッシャーにも似たものを感じていました。企画やヴィジョアルの扱いに関して、アーティスト達も色々と感じ取っていたのか、展覧会の企画であえて震災をテーマにしたものも何本かありました。
現在は震災から1年以上たって、以前ほど神経質な空気ではなくなった様子に思えます。が、まだまだ現場は問題が継続中なのですから、これからもずっと気にかけていく問題となるでしょう。


自分としては、以前から継続してきたテーマであっても、映像自体のイマージやインパクトが、作品自体に誤解を与えたりするのかという事を、今回公開してみての反応によって、できれば確認したいとも思っていました。
展覧会自体は、かなり関心を持って観てもらえたようで、人によっては深くじっくり観察してくれた方々から感想を直接伝えていただく事もありました。
会場で写真作品を何度も見返す人や、30分間あるヴィデオ作品をじーっと凝視している姿を拝見していると、こちらもいくらか報われた気分になります。




展覧会の内容をウェブにアップしました。
高橋ジュンコ web


北京での制作はこれで一段落。次は違う場所を調査検討中。少々日本と係わりのある要素を含んだ街で、ちょっと以前から気になっていた所です。
しかし、情報を探ってはいますが、実際どうなっているのかは行ってみないと判らないもの。それも、大いに興味を惹かれる要素ですけれど。。


そして、今後これらの作品を制作していく事で、北京での作品もあらたな意味合いがでてくるのでは、と目論んでいたりします。