junkoの日記

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鄭州滞在で思ったこと、1。

これまで北京をテーマに制作してから、関連したような話題として、中国の他の地域での問題が気になってきました。
数箇所の街をピックアップして、その現場をリサーチするべく計画しています。この企画は、あくまでも個人として、その地域に入り込みながら現場を観察していきます。




まず先日訪れたのは、中国河南省にある州都、鄭州です。とりあえずこの街の概要などを、、。
鄭州は、北京と上海とのちょうど中間あたりに位置します。中原(黄河下流域にある平原)の中心にあり、中国の主要な鉄道や国道などが交わる交通の要所でもあり、なかなか活気のある都市でした。
初日の到着は夜、市街地の高速道路に色とりどりの電飾が過剰なほど点いていて、なんだか勢いを感じさせる街、との第一印象。この地域はあまり雨が降らないらしく、街全体が埃っぽく乾いた印象で、緑地帯などでやたら自動水撒きしていた事にも、公共施設にはお金かけている様子が。
そして、社会主義国でよく見られる、巨大で威圧的な公共施設の建造物は、多くが新築し直したばかり。それらが、乾いた土地に立ち並んでいる様相は、中原という大平原の中に、忽然と現れた惑星都市のようです。
現在の中国各地には、このように忽然と誕生した都市が数多くあります。











鄭州は歴史的にも由緒があり、殷の時代より3500年の歴史をもつ国家歴史文化名城にも指定されています。


河南省地域は新石器時代からの文物も多く見つかっていて、いわゆる「黄河文明」発祥の地。
有史以前から長い間、この地域には大きな街や都が築かれ、それらの遺構も沢山発掘されています。
滞在中に観覧した河南博物院には、その累々たる遺物が陳列されており、豊かな文化の流れを感じる事もでき、文字通り層の厚い地域性が伺えました。










そのような長い歴史をもつ地であると共に、現在の鄭州は急速に経済開発されようとしている街でもあります。
1990年代くらいまでは、中国沿岸部のほうが経済発展が目覚しく、内陸部は取り残されてきました。2000年代に入ってからは、内陸部にもようやく開発計画が目立ち始め、この鄭州も大掛かりな都市計画の開発が実行される事となったようです。



もともと交通の要所であった街なので、市街地周辺を広大に開発して、企業誘致や人の流れをさらに取り込もうとする思惑があるようです。現在工事中の国家的事業、北京-広州間の新幹線開通についても、鄭州は郊外に駅を建設中。
それを見込んで、ほとんどまだ何も無い荒涼としたその周辺に、高層マンションが異常な勢いで建設されている様子。しかし今のところこの辺りは、生活できる環境が整っているとは思えない、殺伐とした造成エリアなのですが。。
滞在中に現地通訳の人から話を聞きましたが、何か大きな事業計画が持ち上がると、それを聞きつけたデベロッパーがすぐさまその近辺の土地を押さえて、マンション開発をしてしまう。買い手の有無に関わらず、その段取りのスピードがあまりにも早い。しかし、今だに投機目的で購入する人もいるようで、住環境が整っていなくても関係無いらしく、結構買い手はあるようです。


少し前から中国もバブルがはじけたという話は耳にしていましたが、現状はまだまだ開発事業を立ち上げ続行しているように伺えます。現実と仮想の世界が交差しながら、どんどん進行しているようで、果たしてどのような光景に今後変化していくのでしょうか。本当のところ、誰もが明確な先行きなど判らないままなのかも?ちょっと恐ろしいほどの進行を感じます。

(続く。)




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