junkoの日記

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西湖散策。

杭州に来たならば、やはり西湖は見ておかねばと期待しながら行ってきました。
始めて向かった日は生憎の雨模様。しかし、それがかえって思わぬ効果となっていました。
ほとんど向う岸が見えず、茫洋とした白い空間が広がっている、なかなかドラマチックな第一印象です。天候のせいで夕方になるとひと気が全く無くなり、益々異空間にいるような気分になりました。







西湖はもともと海の入り江にあった潟という。銭塘江そして長江の土砂が堆積して、入り江が塞がっていき塩水湖ができあがり、時を経て淡水湖となりました。
歴史は古く、潟は1万年以上前から存在し、紀元前の秦漢の時代から湖として名前がつけられ、唐から宋にかけて「西湖」と名付けられたとの事。
あまりにもここが有名なのは、唐の詩人の白居易(白楽天)や北宋の詩人 蘇軾(蘇東坡)が堤防を造ったり(白堤、蘇堤)、詩に詠んだりしていたためで、その風光明媚な様子が広く伝わる。
そして、南宋の時代に杭州が首都に定められて、西湖湖畔には貴族達の別荘や庭園が築かれていき、益々評判が上がったのでした。
その後も13世紀マルコポーロも訪れ、絶賛した事でも有名。


日本でも平安時代あたりには、白居易あたりの詩を通じて噂が入っていたようです。西湖に見立てた湖や池が、日本各地に点在している事を思うと、西湖のイメージが随分前から相当浸透しているのが伺われます。





白堤。天気のせいで人が少なく、落ち着いた雰囲気のなか巡る。



蘇堤。柳と桃を並べて植え、季節ごとに趣きを変え楽しめるようにした。さすが詩人のセンス。









別の日、天気が良い日にあらためて行ってみました。
やはり全然光景が違ってびっくり。休日で天候も良かったため、地元の人達の憩いの場にもなっていて、観光客も含め大変な人が集まっていました。




白堤。




蘇軾の詩で西湖を詠ったものでもとりわけ有名な「飲湖上初晴後雨」があります。
  水光瀲灧晴方好 水面にはさざ波のしきりに起って、晴れてちょうどよい、
  山色空濛雨亦奇 山の色が雨にけぶる風情もなかなかのものである。
  欲把西湖比西子 西湖を西施と比べすれば、
  淡粧濃抹總相宜 薄化粧も濃い化粧も(晴れても雨であっても)、どちらもなかなかふさわしい。
西湖を春秋時代の美女を西施にたとえ、天気の移り変わりの風光明媚さを表現したものです。
まさに自分も、この詩のように全く違う光景を目にしたような気分になりました。



水深平均1.8mとそれほど深くないため、湖上はとても穏やかそう、観光客のために船が沢山でています。
蘇軾の時代は、これほど多くの船は無かったでしょうから、湖上でのんびりお酒を飲みながら風景を楽しむ、なんて事ができる。望むべくは自分も同じような体験をしてみたいものだ、とつくづく思った次第であります。