junkoの日記

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「輝く都市」


人が居る場所というのが気になって、中国の色々な新区を回った時に、ちょっとヒントにもする。
ル・コルビュジェの「輝く都市」は1930年発表。80年以上前に掲げられた理想。人の住む場所の理想形みたいなものをどう考えていたのか。鳥の目線のようなものが気になったので。その後の都市計画のグランド・デザインに影響を与えたということですし。
「すべての人の毎日の行動を押し潰してしまいそうな一般的混沌の中にではなく、生きる喜びを求めつつ生きようという望みこそ現代文明に与えるただ一つの真の指針であり、しかもそれは世界的普遍的なものである。」


新しい時代の人々のいるべき場所を自分達が作り上げる、というコルビュジェの気概。膨張し始めた都市の混乱、周囲の農村との格差などの問題が出始めた時代背景。一方、新しい工業製品、素材も生まれて、新しいアイディアでこれからの街づくりを提示。都市に住む人も農民や他の地域に住む人々も、共に自然との共存の中で健康的に生きる事を考える。前向きな提案は、読んでいるだけで高揚した気分にさせる。1920年代後半、ヨーロッパ各国が安定期を迎えた明るい未来志向の時代の感じがありありです。その後、世界恐慌から第二次世界大戦へ入っていく暗い時代の直前。そんな不穏な空気は微塵も感じさせない不思議なくらいの明るさ。


上空よりの目線から地上に戻ってみる。80年以上経った今も、人々の居場所については色々複雑な事情が起きていたりする。新しい街を造る事での立ち退き問題、落ち着いた居場所さえ見つけられない難民の人達の増加などなど。掲げられた理想だけでは終わらない現実、その間を多くの人達がまだまだ浮遊している。