junkoの日記

アーティスト(写真・映像) www.junkotakahashi.com https://www.facebook.com/junko.takahashi.376/ https://www.instagram.com/juwakot/

吉増剛造ワールド、炸裂?

先日、私の映像作品も出品した「水の映画会」は、なかなかユニークな内容だった。特に、石田尚志・吉増剛造、両氏の新作発表という事でお客の入りもなかなか。結構面白かったので、ハイライト部分だけちょっと御紹介。
石田氏の作品は、今まで数点見ていましたが、いつも作品内容の密度の濃さに驚嘆する思い。アニメーションという技法は、作り手の仕事量がそのまま画面の密度に表れてしまうので、彼の作品が出来上がるまでにどれだけ膨大な時間と労力を費やされたのか、と想像しただけで感服してしまう。
新作は、”海の映像”とそれが写し出されている”部屋”との、交感されたイメージが次々と変貌していくもの。今回”水”をテーマにしてある故か、絵の具のしたたりや滲み、絵の具が乾いていく様など、手作業とは違う現象の変化による要素も見えてきて、より時間の凝縮が感じられるよう。



さてその後、今日の真打、吉増剛造氏(詩人でもあり、写真家でもあり。)の映像上映。
今回の映像は、吉増氏曰く、uragoe(裏声)付きの上映である。要するに、氏が舞台上で映像と共に、解説やお手製効果音やらでライブしていく訳である。この一見チープな道具立てがなかなかの効果を上げていて、彼が様々に繰り出してくる碩学的な喩え話などとの奇妙な対比が大変面白く、場内は時に爆笑となる。
映像の内容は、何でそんな所を撮ったのか、という吉増氏の解説が無ければ、一見理解不能なエリアばかりである。映像自体も、始終残像が残る効果で撮影しているために不鮮明だし。何だか酔っ払った時のような、視点が合わない不可思議な感覚の映像。
上映後、対談相手の倉石信乃氏(元横浜美術館学芸員)も熱心な吉増ファンらしく、トークでもまた盛り上る。たとえば『プール平』という作品―使われなくなった空のプールの中を吉増氏お手製のオブジェをカメラの前にぶら下げながら歩く―というような作品を観た感想では。。倉石氏曰く「タルコフスキーの映画『ノスタルジア』のラスト・シーンで、主人公が蝋燭を持ってプールを歩くシーンのような行為である。」と熱く語り、吉増氏が始終登場させるチープな道具立てを使う演出(?)を「パンクですよ!」と言い放つほど、場内もテンションが高くなる。
なるほど、何やら混沌とした高揚感が生み出される場で、なんともジャンル分けしようもない吉増氏の映像ライブショーは、氏のフットワークの軽さのごとく、という産物なのか。。。
(感想記だけでは状況はよくわからないでしょうな。。)