junkoの日記

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準備中、デジタルプリント編。その2



写真作品「Lost World」シリーズでは、北京の取り壊し最中の村を撮影した、モノクロ写真をベースに制作されています。



村の中を徘徊しましたが、すでに取り壊し作業が進行していたため、瓦礫が崩れて道が塞がっていたり、埋められてしまっている所が多い。しかし、今だ住んでいる人達もいるため、瓦礫の中に彼らが踏み均したけもの道のような路地ができていました。
私はそこへ通い続けている間、それまであった村道や、新しくできたその路地など巡回していきます。
その道中を撮影していったのが、これらの写真です。





自分がここで制作しようと思い、これらの写真を撮影していく事は、幾度と徘徊しながら現場の気配を感じとっていく、という行為でもありました。
わりと大きめな村でしたが、散々うろついていたおかげで簡単な地図くらい描けそうなほど。そうして住民達などとも顔見知りになっていった訳です。謂わば、現場に馴染んでいくための演習(exercise)のような行為だったのでした。



という訳で、この写真の撮影の仕方は、あまり奇を衒わないような、記録写真に近いようなスタイルにと思いました。
プリントは全て自分で制作。焼き込みをした効果で、少しだけドラマチックな仕上げとしています。(焼き込み作業は、体験した人なら分かるように、以外に神経を使う作業。自分が思った通りのプリントが出来上がるまでに、ミスプリントの連続です。1枚仕上がるまでに、10枚はミスプリントになってしまう、という事も結構あります。)
全部で100枚以上のプリントを作り(おかげで膨大なミスプリントの山ができました。)、スキャニングして「Lost World」の原稿画像にします。そうしてコンピューターで各画像を組み合わせながら、作品となるようなイメージを生み出していきます。
原稿画像は、画像枠の多少のトリミングや、明暗を少しだけ変更するくらい。なので気をつけたのは、元の画像の要素を活かすような組み合わせとなるように、という事でした。具体的な物象が重なり合いながら、抽象的イメージになる手前、混沌となり過ぎないように。
作品の仕上がり画像の比率は、16:9。画面アスペクト比と同じです。一般の印画紙の比率より、かなり横長になります。しかし、ランドスケープを描き出す画面としては、なかなかよい寸法であるように思えます。





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