junkoの日記

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空間に入り込む。1

2015年、Ordos100 現場訪問でのことを再確認するための記録です。
このプロジェクトは始動してわりとすぐに頓挫したため、エリア内には数棟の建築物が残っています。美術館、ホテル、レストラン、オフィス棟、ヴィラ5棟という数種類の建物群。それら実物を散策してみるのがこの時の目的でした。それらの空間に入り込んで、直接手触り感のようなものを体験してみること。


現場エリア自体は、中心街の区画から少し離れた場所にあります。内モンゴル地域はもともと広大な北方の草原地帯で、都市はその地域の中にポツリポツリと出現しているような感じ、街区のすぐ外側には延々と草原が広がっています。オルドス100は街区のはずれにあるので、草原を目の前にし人口湖のそばに佇む環境であります。
ちなみに、こちらへ出向く時タクシーに乗り、ここまで行きたいと説明すると運転手は皆「何も無いよ。」「壊れたものがあるだけ。」というような事を言われ不審がられました。



人口湖を見渡しながら、このエリアに入っていきます。まず最初に目に入るのは、特異なデザインの建物。ホテルとして建てられたものです。
EXH architects デザイン。ホテルということなので、近づくとやはり巨大。どの角度から見ても、かたちがサマになるよう、そのデザイン性に驚く。ディテールもすべて角度が同じような斜であるため、凝ったつくりの空間ですが統一感を感じられます。内部は地上3階と半地下の4層構造。外側のデザインでも特徴的な斜が、至る所についています。





オルドス・ホテルを過ぎていくと、オルドス美術館が見えてくる。美術館という事なので、このエリアのコアになるような施設らしい。それほど大きいものでもありませんし、特異さで目をひくデザインでもない。中国の街中にあふれている強烈なシンボリック的なものとは違う。徐甜甜デザイン。
建設は一応終了している模様。内部には備品も設置され、エクステリアもとりあえず整備してあります。なので、周囲の建物が放置されたままの雰囲気からは、ここの存在感が浮いています。他の施設の素っ気無い状況と比べると、随分綺麗なのでここは管理されているように見えるが、常に運用されているようには見えない。よって、みだりに中へは入れまず、結局建物の周りを巡る事しかできず、上べだけの印象に終わりました。しかし、この建物だけが比較的管理が行き届いているさまは、このエリアがまだ完全に見捨てられていない印のようにも感じられました。
内部をガラス越しに見ると、建設予定の建物のマケットが並べられています。このプロジェクト消滅後、アイ・ウェイウェイにより、100人の建築家たちから寄せられた100の建築モデルをもとにした木製のアート作品「Ordos 100 Models」が製作されたようですが、ここにあるのはその一部でしょうか。何やら宴の後という雰囲気が漂っています。
(Xu Tiantian 徐甜甜が関わったもので北京郊外にある宋庄美術館というものがあります。2011年に北京滞在していた時、宋庄芸術区という所を見学しに行った際、偶然にも私はそこへ訪れていたのを思い出しました。)