junkoの日記

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身体と視点の移動について。

撮影している最中、”その場に居る”という事をあらためて意識する瞬間がある。 

思い出される体験シーンは、2015年、中国内モンゴル自治区のオルドス。 この街で計画された、”Ordos 100”エリア。 

そこを撮影しながら、今は無人となった建物内を探索中の折で。

 

 ( ”Ordos 100”エリア訪問については、下記へ。)

juwako.hatenablog.com

 

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未知の空間に入り込んでいった時、階段を見つける。

更に思わぬ光景に出くわすのではないかと惹かれつつ、その階段へ踏み込む。

一段一段、周囲や上階の気配を気にしながら、ゆっくりと昇ってゆく。

一段上昇するだけで、視点が移動し見えるものが徐々に変化、少しづつ階層の違う空間へ、滲み込むように侵入する感覚。

薄暗い下階から、光を感じさせる方へ引っ張られる。

 

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この展開が、知られざる空間へ入っていく過程を益々ドラマチックに感じさせる。

外界の特徴が入り込んでいない、ここでのミニマルな空間ゆえ、視点はより純粋にその空間を彷徨う。

自分以外に存在感を感じさせるものも無い静かな空間で、この身体的感覚は、普段あまり意識していなかった感覚を呼び起こす。

 

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その土地、街や都市、そこにいる人々を含めて興味があり訪問した場所。

大きな社会的な問題のただ中であっても、そこへ個人として入り込んだ時、直接的で感覚的な反応を感じる。

その個人的な 感性を確認する事で、一見無機的に思える場所でも、人間性を見出しながら、その場を体感する。

打ち捨てられたような空間であっても、人が造ったものである事によって、何かの意味やサインを見出す。

その微かな気配をきっかけとして、事前に考えていた構想とはまた違った展開が生まれたりする。これは、実際の現場を体感したゆえの、視点の変化でもある。

現場の空気感は、頭で考えていた事とは違う情報が漂い、それを感知するためにもリアルな感覚はやはり興味深いと考える。

 

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