junkoの日記

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オルドス滞在記。その1


さて、中国へ再度渡航したのは、オルドス(鄂尔多斯/Ordos)市という所です。内モンゴル自治区の南西部に位置します。
今回は夏の時期に行ったため穏やかな気候でしたが、この地域はオルドス高原という海抜1,000km以上の場所にあり、9月に入るとあっという間に気温が下降、冬は極寒の地となり-20Cくらいまで下がってしまうらしい。
加えてオルドス砂漠といわれるものが近くまで迫っている地域のため、土地は乾燥気味。”響沙湾”という観光地としても有名な、クブチ(庫布其)砂漠の東端に位置する砂丘スポットも有るくらい。なので、暮らすには少々厳しそうな場所であります。
内モンゴル地域など、これまで全く縁が無かったので、完全にファンタジーのイメージのように、遊牧の地として平原が広がっている光景くらいしか思い浮かべられないまま、現地へ赴く事となったのでした。




より大きな地図で Ordos 東勝 康巴什新区 を表示




日本からの航路は、飛行機でまず北京首都国際空港(上海経由も有り)へ行き、国内線に乗り換え1時間少々でオルドス空港に到着する。
オルドス空港に近づいた時、現地の様子を始めて目の当たりにした。高原地帯で、準平原といわれる土地柄らしい。飛行機から見下ろすと、延々と緑の丘陵地帯が広がり、目立つような木立も少なく、人が暮らしている様子も見られないようなエリアへ舞い降りる。(各地どこの空港も、大抵街から離れた所にあるが、このオルドス空港の周囲は見事に何も無い。)
降り立った時の第一印象は、「随分と地の果てに来てしまったものだな。。」とちょっと感慨深く思う。




空港から滞在する東勝(Dong sheng)へタクシーで向かう。途中の道中も見渡す限りの平原であるが、其処此処で開発の工事が行われている。
周辺はほとんどまだ人々が活動しているようなエリアでもない様子。だだっ広い平原の中、点々と高層建築の集合体が生まれつつある。
遠くから見るそれらの光景は、まるで地中から生え始めたタケノコのよう。






東勝に到着。街に近づくといきなりビル群が出現。その中に入り込んでいくと、今までの平原の光景がウソのような都会ぶりである。東勝区はオルドス市の中心街なのだ。



もともとオルドス地域は、旧石器時代からすでに人が住み始めている。遊牧の適地として、またモンゴル高原華北(中国北部)を繋ぐ交通の要衝として成り立ってきた。
近年、この内モンゴル自治区のあたりは、地下資源の宝庫として開発が盛んになっている。それに伴い、地域を管轄している行政への利益にもなり、それによって街の事業も色々興す事となる。俄然この地域は注目され、案の定不動産取引も急激に活発となっていく。
そして、内モンゴル地域の今まで小さな地方都市だった街の多くが、近年どんどん開発され様相が変貌する事態となっているようです。 






特にこのオルドスではその状況が著しく、東勝区から20kmほど離れた場所に全く新しい広大な街を作り、行政機関を移して、現在は文化施設や住宅街を新設しています。康巴什(Knag bashi)と言われる新区です。
この新区については、急速な変貌ぶりや供給過剰すぎる住宅開発の状況が、数年前から海外でも報道され少々話題となっていました。それらのリポート写真は、整然とした街並の広がりに、人の姿がほとんど見られない、まるでCGで造られた画のように、リアリティの感じられない奇妙なものだったのです。
そんな不思議なシーンに興味を覚えたきっかけもあり、今回の訪問にまで至ってしまったのでした。実際訪れてみて自分がどう感じるのか気になり、ここまで来てしまった訳です。