junkoの日記

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空間に入り込む。3

街とその外側の境界での出来事。外側へ向かっていくには、もともとそこにあったものや自然などと共に、そこで生活していたであろう人々の居場所を変えてしまう。その過程には、見えないところでの人々の思惑や政治力、そして理想などがあったりする。それはこの国だけの話ではありません。
あらためて新しい場所を作り上げるという事は、その場所の意味を変換する事。その変換された価値が、現実の場との齟齬を生じさせた時、その流れが停滞し色んなものが取り残される。




オルドス100エリアの人造湖そばには、ヴィラが5棟ほど建てられています。2015年私が訪れた時には、すでに放置されてから5年以上経っていたかと思われます。
ほとんどのヴィラが人造湖に向かって開口されていて、窓から湖を望んだ光景を屋内からどう眺めるか、ということもそれぞれのヴィラによって違い、趣向があっておもしろい。



こちらのヴィラは、不定形の空間が寄り集まって、くっついたような造りです。設計者不明。
大きな窓が至るところにあり、かたちも不定形のため、内部は光と影の構成もおもしろい。






Dune House。外壁の意匠が特徴的。レンガの組合わせで模様を造り出しているので、いたってシンプルなテクニック。レンガの積み上げ方次第で随分と印象的になるものだ。デザイン HHF architects。階段と天井のスリットから入る光が、空間をドラマチックにしている。


この時、気がついたら向う側の空がどんどん暗くなってきていた。ここ内陸部、大陸性気候の天候は変わりやすい。まだ頭上は明るいし、風向きからしてここは大丈夫かなと様子見。が、まもなく涼しい風が強く吹き出した。低気圧が近づいてくる兆候。天気予報では時々雨。これはまずいと思って、帰途に着こうと速足に。一番近いバス停まで2Kmくらいあるので焦る。案の上、ポツリと降り出したら、瞬く間にゲリラ豪雨。加えて風の勢いも凄く傘は役に立たない。タクシーも滅多に来ないような辺鄙な場所、歩いている者は自分だけというかなり心細い状況で、どうにかバス停まで辿り着き帰途へ。時期は夏場でしたが、ここでは秋季から急激に気温が低下し、冬場は氷点下20度くらいにもなる。時期が時期だったら行き倒れになりかねない。慣れない土地を甘く見てはいけないものだと思った出来事。





手前のレンガ造りのヴィラは(ちょっとルイスカーンっぽいような。)、外側から見ていると特異な感じがなさそうな、いたってシンプルな平屋と思って入ってみたら、地下に色々スペースがあってちょっと驚く。外側からの様相だけですと、想像のつかない広い空間が内包されていて、第一印象のスケール感との落差がある。レンガとセメントのみの素材で工事がストップしているため、ほとんど遺跡のように見えます。これも設計者不明。






先に紹介したYazdani studioのヴィラ。湖畔側から。
入り口からどんどん中へ進むと、V字型に広がっているので、暗がりから一気に開口部の湖畔の眺めが目の前に飛び込んできて、とても開放的な印象。







半分土に埋もれていて、砂漠の中の家というイメージが一番ぴったりとくる。設計者不明。
5棟のヴィラの中で一番床面積が広いような。内部は奥行きがあり、結構複雑な造りです。


奥に進んでもまだまだ空間が広がっていく感じのする建物。中庭があったかと思えば、外光があまり入らない内部は、まるで洞窟の中のよう。建物中央部に広間があり、何やらこちらも古代の宮殿遺跡みたいな雰囲気がする。
さらには不可解な空間も。なぜかそこへ辿り着く階段が途中までしかない、ちょっと大きな空洞空間。使用用途が不明。
このヴィラは色々と一番謎めいた雰囲気の家に思えたりした。