junkoの日記

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「マイクロポップ」や「バベル」などを。

まず、水戸芸術館で開催していた「夏への扉 - マイクロポップの時代」。
美術評論家松井みどり氏が最近マニフェストしている「マイクロポップ」というキーワードで作家を集めた企画。”宣言文”を読んだが、言わんとしている事は大体理解。フランス現代思想ドゥルーズやガダリを概念として出してきているが、具体的に松井氏がどういう事を言いたいのかは、実際選んだ作家で見えてくるでしょう。
いわゆるスタイリッシュだったり一見知的に見えるような”美的感覚”からは、敢えて外れるような手法を特徴とする作家多し。独自の理論を展開しようとするエネルギーは半端ではないため、好き嫌いが出てきそうなアクの強い作家もいる。私が気になった作家は、田中功起大木裕之野口里佳半田真規、というあたり。田中功起氏はますますバージョンアップしているようで頼もしいです。

水戸への往復はたいてい高速バス。いつも思うのは、帰りの道中、茨城から都心の景色の移り変わりの極端さ。高層ビルなどどこにも無い平坦な光景と、首都高に入ったあたりの街並みには異常なほどの落差を感じる。東京という街が突出した場所であるのがパノラマで見えてくる。



お次は、ちょっと話題の「バベル」。久しく映画館で映画を見ていなかったが、とりあえず見に行こうかなという気になったのがコレ。
監督のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥのこれまでの作品「アモーレス・ペロス」「21g」も見ているが、この「バベル」は一番わかりやすい作品のように思えた。お得意の別々の場所での同時進行スタイルも、今回はまとまっていたので理解しやすかった。
イニャリトゥ作品に共通するのは、突然の出来事がふりかかった事で展開するヒューマン・ドラマ。ちょっと強引すぎるような設定もあったりするが、”悲劇”を器として、人間がどのような反応を起こすのかを描く。偶然の繋がりから生まれる化学反応のようなドラマ・ストーリーを描く事に終始したいのか、ラストはいつも大団円では終わらないし、分かり易いメッセージを避けているようなフシもあった。
しかし、今回の「バベル」はかなりシンプル。人間描写の突き放したような演出や極端な設定は、登場人物の感情の起伏をより激しくさせるためのもので、基本的にはメロドラマ派なんだなーとバレてしまった感があります。(関係が微妙になった夫婦がモロッコを旅行するという設定は、ベルトルッチの”シェルタリング・スカイ”を彷彿とさせる) 。。とは言え、やはり次回作が気になる監督ではあります。