junkoの日記

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大きい事はいい事か。。

先日の北京滞在では、観光めいた場所に行く時間はほとんど無かったですが、唯一行った名所、観光定番の天安門故宮博物院紫禁城)のネタを少しばかり思い返してみる。





やはりここは外せない観光スポットだなーと思われたのは、実際訪れてみると中国の(為政者としての)感性の一端が歴然と感じられたこと。
天安門その周辺の道路の広さは、軍事パレードなどで大量の兵器、兵員を一同に集め、たまにTV中継などで世界中に披露させる(見せつける?)ための、大げさなばかりの広大さがある。
このエリア周辺は色々規制が厳しいらしく、タクシーを降りる場所も決まっていて、お客の要望には答えてくれない。入り口も物々しく警備員が何人もいて、荷物はX線チェックされる。(X線チェックはいたるところでやっている。地下鉄でさえ。ラッシュ時間帯は非常に混んで面倒。)あと町中で見かける屋台や物売りの姿が、ここでは全くというくらい見当らない。ウワサによるとこの辺りは、私服警官がウロウロいるらしい。


そして紫禁城へ。入り口は観光客でごった返し息苦しいくらいだが、太和門をくぐると、有名な太和殿前の広ーい空間がひかえている。続いて中和殿、保和殿など大きな殿閣が建造されているこのエリアは、外朝といって儀式などを行う公の場所。
そうしてその奥は内廷。皇帝の生活空間の場所がある。しかし内廷エリアに入ると、表向きエリア(外朝)にある豪勢な殿閣や広大な空間との落差をやたら感じる。急に細々とした建物が並び、建物周りの空間も狭い。さらにその居住空間の部屋の小ささにも驚いてしまう。
その昔、中国の人々は紫禁城を地球の中心と考えていたので、政を行う場所はやっぱり壮大に見せたかったという事でしょうが、外朝を見た後では、余計にそのプライベート空間との差を感じる。この狭い凝縮された空間で、色々な権謀錯綜が行われていたかと思うと、さらに濃い空間に感じられてしまう。
ようやく、大和門とは反対側の神武門から城外へ出ると、昔ながらの胡同が結構残る街並みも見られる。東京で例えると、皇居からも近い神田のような庶民的な雰囲気が感じられる地域か。この辺りは地図で見ると北京市街のど真ん中にあたるが、高いビルが無いせいか大都市の中にいる感じがあまりしない。紫禁城で感じた余韻もすぐには消える事がなさそうなエリアである。(しかし北京名物、交通渋滞は見られますが。)






さて故宮エリアを離れると、現在の北京では大型ビルの建造ラッシュがまだまだ続いている。多くの人の目につきやすい公共的な建築では、巨大な空間がやたら気になる。それらは共産圏の国々でありがちの、巨大なパブリック・スペース(天安門も然り)を連想させます。(現に中国は共産主義国家なのだが。)
新しく出来た北京首都国際空港のノーマン・フォスター設計のターミナル(世界最大らしい)や、天津へ行くために利用した北京南駅(空港みたいな広さ、アジア最大らしい)などなど、やたら広すぎて目的スポットに着くまで延々と歩かされる。疲れるし時間もかかるので、果たして便利になったのかどうなのか。。少々我慢してお目当ての場所に辿り着けば、その便利さを享受できるという事だろうが。(例えば、天津行きで乗車した新幹線は時速300Km!30分ほどであっという間の到着。)
建外SOHOや三里屯は、日本人建築家(隈研吾山本理顕みかんぐみ、などなど)も一役買った事で話題にもなったエリア。ここ以外でも街の至る所に、日本では建築法の規制などでは、到底有り得ないようなデザインのビルが随所に見られる。笑ってしまうほど奇抜な形の建物も多い。(こういう情報はネットでも色々得られる。)資材・人件費も安いだろうし、建築家にとっては遊び場のような場所である。けれど、それらの建物が大きければ大きいほど、奇抜であればあるほど、ハリボテ風で空虚な雰囲気も感じられてしまう。


などなど、この街は色々な場所がまだまだ流動的で、隙間もそこかしこにあって、自分なりのシステムも作る事が可能なのかもしれない、と思わせる空気感を感じさせる。一方では、強制的な取り壊しような目にも合いかねない現実もあったりする。このような、トンデモ風パワー?がそこら中に漂っているせいか、北京の街全体がどこに向かっているのか図りかねる雰囲気もあります。
けれど、少し前にあったような、中国アートバブルも今はちょっと落ち着き、ちゃんと残るものが残っている様子も。このようなユニークな空気感を感じてか、海外からも人々は集まってくる。それはひと昔だったら、ベルリンあたりで醸し出していた磁力のようなものか。しかし、ここで見られる”過剰的”なセンスは、アジアっぽい混沌さが感じられます。なので、人によって好き嫌いはあるでしょうね。